伊豆の迷い子紀行
夜20:00頃、伊東に到着した時私は温泉街に来たのだという実感が妙に湧いてきた。辺りは深い山々に囲まれてその中にはぽつぽつと旅館やホテルらしき建物が見られ、少し寂れた感じを思わせる独特な雰囲気と浴衣を着て街を練り歩く人々。
なぜ、伊東に舞い降りたのかというと天城山へ登る登山口へのバスが伊東駅から出ているからである。朝方のバスで山道を登っていく事一時間、私の天城山縦走はここから始まったのだ。
天城山は日本百名山にも数えられ伊豆半島に位置し最高峰は標高1406mの万三郎岳であり、複数の山々から構成される連峰である。天気は申し分ないぐらい晴れていた。私はまず登山口から万二郎岳を目指した。
万二郎岳から下界に遠く見えるのは風車の光景である。
万三郎岳に到達した時、その場所から眺望はなにも望めなかった。なにやってんだよ、万三郎…という、残念な気分が込み上げてきた。
万三郎岳を越えた辺りから時折、富士山がひょこっと顔を覗かせる場面があった。この山のハイライトと言っていいんではなかろか。独立峰としての貫禄のあるその雄姿に感嘆せざるを得なかった。いつかはあの山を登らねばならない、という強迫めいた使命感に襲われた。
万三郎岳から歩くこと27098427255858時間ぐらい経過してやっと八丁池に着いた。(ほんとに長ったるい道のりである)
この八丁池、後で知ったのだが心霊スポットなのだそうだ。そういえば登山客の犬に通りすがりに何か唸られた気もするが…。とにもかくにも人はいずれ死ぬ。孤独という生ゆえの重い荷物を抱え込んだ私はそんなこと気にしてられぬ。道中にフレンドリーなソロおばさんと喋って孤独に染まった私の心も少し洗われたような気がした。八丁池から天城峠に差し掛かった頃、脚の疲労が限界だった。登山口から天城峠まで六時間はかかった。
天城峠を下った所に旧天城トンネルがある。
天城峠からバスは数本に一回しかなく河津駅行きの最終バスは既に通り過ぎていて途方に暮れたが、他行きのバス運転手の計らいで目的地の河津駅まで何とか辿り着いた。実にありがたい人々に助けられたのだと感心した。
『伊豆の踊り子』は川端康成の代表作の一つであるのは言うまでもないが、私にとって伊豆という地が何より魅力的に思われ続けたのは学生時代にこの小説に出会ったからなのかもしれない。電車のなかで『伊豆の踊り子』を久々に読み返していた私は読後やはりあの爽やかな寂しさを思い出したが、余りにも感傷的な主人公に対する新たな驚きもあった。何はともあれ伊豆に百名山があったことも旅選びの決め手になった。
明くる日、河津を発って熱海に赴いた。熱海には特にこれといった用事もなくて足湯『家康の湯』に浸かったり、辺りを散策したり温泉饅頭を食ったりした。海鮮丼の店と蕎麦の店はいくつも見受けられた。熱海は容赦ない坂道の多い地であり、押し寄せる人波に揉まれ、歩くのが結構堪えた。
熱海を去り、沼津に向かった私はバスに乗り、沼津港深海水族館に足を運んだ。これもかなりの行列が出来ていて一時間以上は待たされた。規模は思ってたより大きくはなかった。シーラカンスの冷凍標本が見られる。
メンダコは写真も動画も禁止だった。
沼津を去り、伊豆に別れを告げ、旅の最終地である静岡に向かった私の脚力はヨボヨボの爺さん並みだった。ホテルで一泊し、駅付近にある静岡ホビースクエアに向かった。静岡は模型好きの聖地である。
企画展と常設展があり、常設展は無料になっている。
あまり広くはないが様々な模型が展示されていて、模型好きのオッサンからオタク、そしてちびっ子まで楽しめるはずである。
ホタテ貝の憂鬱
前回以来のプラモデル製作。今回は↓↓↓↓
バンダイは近頃スターウォーズに熱すぎではないかというぐらいシリーズものを連発している。スターウォーズには乗り物が色々出てくるけど個人的に印象深いのは、
そうさ、やっぱりファルコンなんだよ。
別売のLEDを内蔵させればライトで光らすことができる。良くできていて簡単に組み上げることができる。更には友達とフリスビーで遊ぶことも、そう、Falconeならね。…できないのだけれども、作っていて面白いプラモとはこういうプラモなのだとなんとなく思わされたのである。ミレニアムファルコンのデザインは一切れのピザが元ネタらしい(NAVERまとめで読んだ)のだが、くっつけた表と裏を何回か開いては閉じては繰り返してる内にホタテ貝でも開閉しているような愉快な気分になった。しらんけど。
空飛ぶピザという発想がおもしろいが空飛ぶホタテ貝というのはどうだろうか。
…などと意味不明な供述をしており、日頃からの変人に関しての動機は未だ不明である。
完成品がこちら↓↓↓↓↓
コクピットと搭乗口、後方が光る仕様。
ピカッ!
荒くれ者のすべて feat. Yoda
真夏のピークが去った、天気予報士がテレビでだいぶ前に言ってた。最後の登山に今年もなりそうである。
登ったのは福井県にある荒島岳。日本百名山の一つでもある。標高1500m代。
元スキー場付近から登ったわけだが、始めから急勾配の上り坂。キツくて引き戻したくなるのを堪え歩みを進める。冷たい木枯らしが吹き荒み、山道は舗装されてるとは言い難く、不揃いな大小の岩々が転がっており雨で所々土がぬかるんでいる。この山は何という荒くれ者であるか。山名の由来は定かでないらしいが「荒」の名を持つだけある。
登ってゆく途中に遠く姿を現すのが白山連峰である。雄大にそそり立ち、冠雪した優美でその誇らしげな姿に「アアッ…」と感嘆の声が出てしまった。
辛くも山頂に到達。寒すぎるが小屋がなく、仕方なく震えながらカップ麺を啜る私。
こんな山に何かいないかな、いないよな、なんてね思ってたら…
まいったな、まいったな、話すことに迷う私。
“May the force be with you...”