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 御無沙汰気味で候。前回は七月に更新だったのか。陽明門にかなりの製作エネルギーを費やして、なかなか次へと触手が伸びなかったのだ。あれは一筋縄ではいかない“鬼”であった。“鬼”を討ち取った私は其れが完成した途端に全くの抜け殻になったのだ。それから徐々に気力を取り戻し、また製作をやりだすとその妙味にふと気付かされた。模型製作は私の足りない何かを埋め合わせてくれるような代物であったのかもしれないと。

 今回製作したのは河童である。…そう、河童。福崎町観光協会が町おこしとして発売したプラモデルである。名前があるようで「ガジロウ」というらしい。一般的に河童は全体的に緑のイメージがあろうがこの河童は赤だ。それもどぎつい赤だ。ゆるキャラだがゆるくないね、むしろグロ…よりである。しかし、それが良い。
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 私の持つ河童のイメージは遠い昔、遥か彼方の銀河系で…………、幼児期に観たざわざわ森のがんこちゃんで登場した河童である。「カッパ64~」とか言ってハイテンションなおじさん声で登場したにも関わらず、見た目はキュートな姿の河童がムダに忘れられないのだ。ギャップ萌えした人達も少ない筈。 

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 さてさて、話は戻る。箱の裏面に部品の配置図があるだけで説明書は入ってない。まあ部品数も少ない。物語が書かれてある。二匹の河童が悪さをするので子供達から嫌われ無視されて、それに傷付いた河童兄弟が謝る為に民俗学者柳田國男先生をずっと待ち続けているという設定らしい。地上にいた兄のガタロウは頭の皿が干からびて仮死状態、弟のガジロウはぬくぬくと池の中、それぞれ帰りを待っているらしい。誰かこの河童兄弟に言ってやってくれ、柳田國男先生はもうこの世には居ないことを。そして、子供に謝るべきではなかろうかということを。

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はい、ドン。

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ギロリ…。

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グワッ…。

 手に持った二つの玉、頑張って集めたドラゴンボールでも鬼退治用の吉備団子でもない。尻子玉である。もしかしたら諸君にも有るかもしれない。いや、ない。肛門内にあるとされる架空の臓器である。河童は尻子玉が好物らしいので、万が一出くわした際には与えてやると吉。ないけど。

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 台座も付いていたが、川に棲む河童をイメージしてジオラマ仕立てにした。土台に壁用補修剤を盛り付けて青系や緑系で着色した後、テクスチュアジェルで表現した。白波の表現の仕方ってセンスが問われるね。

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 河童というのは元を手繰ると安倍晴明式神であるとか、間引きされて河辺に棄てられた子供の遺体であるとか、水害対策としての生け贄とされた者の姿であるとか多種多様な説があり、どれも興味深い。河童が水難事故を防ぐ為の警告的な存在だとすれば何か感心というか腑に落ちるような心持になるものだ。妖怪という存在、それは即ち自然への原始的な信仰、畏怖の形であったのだろうと私は思う。

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 何か荒んでて健康状態がよく無さそうな河童に見える。お世辞にも組みやすいプラモデルとは言い難いが独特なデザインや珍味という価値が十二分に発揮されている。福崎町観光協会シリーズ、他にもプラモデルがあるので其方も今度作ってみようかと思っている。それでは皆さん、さよなライオン。
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